どうする!私たちの食と農業

 1月29日シリウスにて、千葉商科大学 人間社会学部 准教授の小口広太さんを講師にお迎えしてして『どうする!私たちの食と農業』の学習会が開催され参加しました。

 日本はヨーロッパなどに比べて野菜や米が育てやすく農業に向く風土です。日本の食料自給率は戦後8割ほどであったのに今では38%、穀物は28%まで低くなってしまいました。市化が工業化に伴い農家が減少し、高齢化で離農が進み1960年から2020年の間に農業就業人口と基幹的農業従事者は10分の1に減少してしまいました。都市では担い手がいないと宅地になってしまい、地方では放棄地となってしまいます。2008年の世界同時食料危機では食料価格の高騰が起こり、自国の食料を守る為、食料の輸出国が輸出規制を実施したため食料危機が引き起こされました。またコロナで流通の制限やロックダウンなどが原因で輸出規制が起こったり、ロシアによるウクライナ侵攻により食料の価格の高騰が私たちの食卓を直撃しています。今後は日本の自給率を少しでも上げていく必要があります。

 世界ではEUが2020年5月「Farm to Fork Stategy」農場から食卓まで戦略―持続可能な食料システムの構築を発表されました。日本でも2021年「みどりの食料システム戦略」を策定。2050年までに耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ha)を目指すという戦略を立てました。しかし、ドローンやAIの導入が議論されているがハイテク化だけで可能なのか、誰が農業を担うのかとく担い手育成の欠如や誰が有機農産物を消費するのか消費拡大の欠如など問題点が挙げられています。

 今後は地域と有機農業者と協力しあうことで持続可能な地域づくりが課題となります。そのひとつとして生産者が直接販売をするファーマーズマーケットを増やすことで生産者と消費者のコミュニケーションの場が生まれます。生産者の顔がみえ消費者も安心して購入することができます。また有機新規就農希望者を新たな生産者に育てたり新しい農業を育てる場所になります。
もう一つは身近な食と農の結び目として学校給食がキーワードになっています。地域の中で食と農をつなぐ食農教育や有機化することで食の安全、地域環境をよくしたり、多様な人たちが関わり、みんなでつくる地域づくりの土台となっています。愛媛県の今治市や千葉県のいすみ市、木更津市などが例にあげられます。
そのほかにはCSA(Community Supported Agriculture)=「地域で支える農業」「地域支援農業」への期待が高まっています。CSAは近年アメリカやヨーロッパを中心に世界中に広がっています。日本では消費者が年間(半年)を前提契約をし、農家の会員となった消費者が生産者より月に2回季節の野菜を受け取るなどの例が挙げられます。またコロナ禍による外出自粛や自宅で過ごす時間が増えたことで農魚体験農園や市民農園などで耕す市民が増えています。東京都西東京市にあるみんなの畑や横浜市にある生活クラブみんなの農園もみんなで耕す・共同耕作や多様な協働を目的に作られています。

 大和市でも有機の給食を取り入れたいと運動しています。今後は生産者と地域と学校が協力しあい地域課題の解決ができるような仕組みづくりを考えていきたいです。また多世代の交流の場や就労したくてもできない人たちにとっても耕す農園はとても活用できる場であると思います。できた野菜はこども食堂・フードパントリーで食べることができ地域で支えあうことができます。今後の農業を考えることで地域が活性化していくことが期待でき提案につなげていきます。