学校給食無償化には食の安全の確保が大事

小中学校給食費の無償化を求める請願書に対し、神奈川ネットワーク運動・大和市民会議は食の安全の確保と無償化は車の両輪として同時に求めていくべきと考えています。

学校給食法では、給食は食育の推進と規定され、生活の基本となる食事、食文化を伝える大切な教育活動の一環でもあります。文部科学省は、児童生徒の心身の健全な発達及び食に関する正しい理解と適切な判断力の育成を図る上で重要な役割を担うとの認識を示しています。人間の体は食べ物からできていると言っても過言ではありません。更には、成長期にある児童生徒にとって、給食は安心安全な食材を使用したものであることが必要不可欠です。

 大和市では、市独自の品質基準を設け、値段だけでなく、品質や味、添加物の少ない食品を選び、原則国内産のもの、遺伝子組み換えがされていないものを選定し、手作りにこだわるなどの工夫がされていることを評価しています。

 一方、私たちを取り巻く食環境は、輸入食材の増加、遺伝子組み換え表示の厳格化による実質非表示やゲノム編集食品の非表示、農薬や化学肥料の使用など、安全性への不安が増大している状態です。輸入食材の中で多く使用されている北米産の小麦からは、有機表示の物を除き、アメリカ産は約98%、カナダ産は100%、グリホサートという除草剤が残留農薬として検出されています。大和市は、米飯給食が週4日の取り組みがされており、食育の面からも評価していますが、週1回の麺やパンの小麦はカナダ産小麦が使用されています。対して、発がん性の懸念されるグリホサートの検出されていない国産小麦に、食材費の補助をしてでも変更する自治体が出てきている状況です。

東京電力福島第一原子力発電所ALPS処理汚染水の海洋放出は、地元漁業関係者の理解がないまま進められ、今日に至ります。処理水に含まれるのはトリチウムだけでなく、定量であっても残留している核種が含まれ、その種類や排出量は明確になっていません。更にトリチウムとトリチウム以外の核種の毒性と、食物連鎖による生体濃縮の毒性の人体への影響も分かっていません。科学的に問題だと立証されていないことがイコール安全ではないのです。安全であるという立証もされてはいません。

 子どもの体を作る大切な一食となる給食の食の安全を担保していくためには、疑わしきは使用せず、予防原則の姿勢が重要です。給食費の無償化を求めるのであれば、食の安全をどう確保していくかも同時に求めるべきです。

 給食費が保護者にとって大きな負担となっていること、コロナ禍を経て物価高や光熱費の高騰など、経済的に困難な家庭が増加し、給食費がますます負担となってきていることも承知しています。大和市としては、食材費の高騰分を市が負担して給食費を値上げしない努力がされており、評価しています。また、生活保護世帯や非課税世帯などへの給食費補助も行われています。所得制限などがありますが、第三子の給食費無料の制度もあります。市内小中学校の給食費を無償にするためには、約9億8千万円が必要であるとの試算がされています。真に子どもの貧困対策に取り組むのであれば、給食費補助対象の拡大や、長期休暇中の児童クラブ等への昼食提供、県内で行われている学校での朝食提供、食材費への補助により食材の質の向上や地産地消の推進、栄養教諭や学校栄養職員の配置の増員など、先ず取り組むべきことがあるのではないでしょうか。市長の公約にもある、オーガニック給食に向けた取り組みもその一つだと考えます。

 限りある財源の中で、先ず何を優先して取り組むべきなのか、しっかりと考えていただきたいと思います。繰り返しますが、学校給食に対し、食の安全の確保と無償化は車の両輪として同時に求めていくべきです。

以上をもって、賛成討論としました。
今回本会議の議決は吉田奈々は賛成、布瀬めぐみは退席という形をとりました。